改めて、上原正三氏が書籍『金城哲夫 島唄』へ向かう旅路

上原正三
原田昌樹
満田かずほ
北浦嗣巳
高野宏一

「金城哲夫は、新しい怪獣シリーズンの脚本を書きあげるのに苦労していた」
「早く終わりにしたいんだよ! これもう八回も書き直してるんだから!」

「円谷英二監督。特撮の神様とも呼ばれている。子どものような、夢見る心の持ち主でもある」

「どうです?」
「あぁ……まとまってきた。でも、面白い? この脚本(ホン)面白い?」
「いやぁ、面白いと思いますけど……」
「そう?……」
「あの、どこが面白くないんですか」
「なんか意欲がわかないんだよなァこれじゃ……。金ちゃん悪い。これじゃあもう一稿だね」

「悲鳴を上げてるぞ、金城」
「……難しい局面だなァ。もう一つ剥けてない……もう一息なんだけど」
「もう一息か」
「円谷プロの、将来がかかってる、今度の新番組は……」
「うむ」
「書けますよ。金城なら」

「どうした? え?」
「いや、書けなくて……才能ないから、俺」
「はははは、泣くな」

「これは……」
「ウルトラの星だ」
「ウルトラの……星?」
「宇宙人からもらったんだ」
「宇宙人?」
「友達なんだ、彼とは」
「まぁさか!」
「わしだって、金星人だ」
「金星人?」
「そうだとも。いや、あの夜、考え事をして寝付けなくてね。竜ヶ森湖の辺りを散歩していたんだ。

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