前回は「岡本麻弥アクトレスインタビュー・6『岡本麻弥と劇場版「Zガンダム」と「再びのエマ・シーン」と』」
今や女性声優の大御所にして常にトップを走る表現者、岡本麻弥さんへのインタビュー第6回。今回は『岡本麻弥アクトレスインタビュー・7『岡本麻弥とインボイスと『VOICTION』と』です。
――ここからは今現在、最新の岡本麻弥さんを語る上で、欠かすことが出来ない『VOICTION』という運動に関していろいろお尋ねしていきたいと思います。『VOICTION』は、現在進行形の問題として、2023年度から実施が決まったという前提で政治や経済が動いてる「インボイス制度」。これも解説していくわけですが、その制度に対して、僕のような作家から、個人タクシー運転手や漫画家や、岡本さんのような俳優さんなどの個人事業主を、直撃して廃業に追い込む税制に対して、岡本さんはなぜ『VOICTION』を立ち上げて戦おうと思われたのでしょう。
岡本 最初は、自主企画・架空 TV アニメ『雷神八系-ZANAM-ファム・ファタール~運命の女』の為に、Twitter をマネージャーからやらされたんですよね。それでタイムラインで世の中に起きている出来事を眺めていって。Twitter だから政治的な時事ネタも流れてくるんで、それで学んだ感想とかも本当は言いたいんだけれども、声優はそういうことを呟くことをあまり好ましく思われない。政治ネタで炎上をした声優さんなんかもみていたので。自分も抑えていたのですが、このコロナ禍でいよいよ「まずい!」「声を上げなければ!」と思うことが多く、国の根幹に関わるようなことには声を上げ始めた訳です。そんな中、インボイス制度という、今の私たちに直接かかわってくる、下手をすれば職業生命にかかわってくる問題を前にした時、インボイス制度は、理解すればするほど怖い制度なのに、その怖さが周知されないまま制度が施行されようとしていて、とても危険だと思っていたところ、2022 年の参院選で、自公政権が大勝利し、インボイスの施行も具体的に決まりました。今から覆すのは難しいのを承知の上で、まだなんとかできるかもしれない、しなければ!と、声優の仲間たちと立ち上げたのが『VOICTION』だったんです。
――改めて説明すると、インボイス制度とは、記載義務を満たした請求書を発行・保存する適格請求書等保存方式の略称で、今のままだと2023年10月から施行される税制ですよね。企業に勤めている人、個人事業主でも収入が1000万程度から上の層で、税理士を雇う余裕がある人などにとっては他人事でしょうが、私らのような泡沫作家や、ギャラが低いままの業界で、頑張ってる声優さん等にとっては、死活問題になる、生死を分ける制度になりかねませんよね。