前回は「出渕裕ロングインタビュー7 出渕裕とナイチンゲールと高橋良輔と」
――前回の高橋監督の逸話を聞いて思い出したのが、こんな富野監督のコメントなんです。
犯罪者になるっていう負債を負うのはやっぱりいくら何でも損だよね。だから僕は亙君を殺さない(笑)。カトキ君もブン殴らない。
CYBER TROOPERS VIRTUAL‐ON REFERENCE SCHEMATIC―電脳戦機バーチャロン副読本 「Laugh?...I nearly bought one!」
出渕 そういうこと(富野監督なら)言う言う(笑) 言う言う(笑)
――出渕さんに対しての富野監督の暴言で印象的だったのが、やはり『ダンバイン』の時の、ラポートの『ダンバイン大辞典』でのインタビューで、こういうのがありました。
例えばこういう言い方が出来る。出渕のアホが(笑)僕が思ってるより馬鹿馬鹿しいスケールの艦を作ってるんだから、修正させればいい。でも僕の思い入れの深い部分を全部はずしていくためには…怨念がこもってますからね(笑)それを断ち切っていくために通したんです。
ラポート『富野語録』富野由悠季インタビュー
出渕 っていうかね。(富野さんが)でっかい戦艦大好きなんですよ。戦艦って言われて、でっかい戦艦って注文されて、多分富野さん、中途半端なことやってもダメなんだなって思って、どっちかっていうと『イデオン』感覚でやったんですよアレは。富野さんはシルエット主義だから、「縦に長い(グラン・ガラン)」「横に長い(ウィル・ウィップス)」とか「二重になってる(ゲア・ガリング)」とかね。まぁゴラオンだけは艦っぽく。そしたら「こんなヤマトみたいなの描きやがって! 馬鹿ァーッ!」って(笑) だって「縦」と「横」で、あと何があんだよって(笑)
――『ダンバイン』で戦艦というと、既にゼラーナなどのオーラシップがあったわけですから、その上で改めて戦艦を出すのだとなれば、大きさでまずコントラストを付けなければ演出になりませんからね。