ULTRA-ACTVer.2ウルトラマンのパッケージ

当初、この話でも初代ウルトラマンに関しては「初志貫徹」の想いも込めて、ウルトラ超合金で再現することも考えていた。
しかし、平行する形で『ウルトラセブン』(1967年)『栄光は誰れのために』の再現で、ULTRA-ACTのウルトラセブンを使うこと。また、2007年からのブログ当時や、2009年のCD版等、要所要所で「その時代の最先端アイテムを取り入れて」再現特撮をやってきたというポリシーの変化。そして、だからこそ筆者の再現特撮が、ある意味でウルトラ玩具史を飾る側面を持ち合わせているなら、この15年の時代の変化の中にあった「時代のあだ花」としてのULTRA-ACTを、流れのどこかで取り入れるべきだなと感じていたこと。そしてまた、ヤナカーギーという「この怪獣ソフビが発売されたからこそ、この話は再現可能になったのだ」を前提にする時、新たに小さく塗装もおざなりになってしまったウルトラ怪獣シリーズを前にして、アイテムの発売時代や大きさの枠にとらわれないアイテムチョイスをしたかったことなどが挙げられる。

ULTRA-ACTVer.2ウルトラマン開封状態のオプションパーツ一覧

特に拘ったのが、このエピソードにおける最重要カットは、ヤナカーギーの大暴れでも、それに立ち向かうティガでも、二人のウルトラマンによるダブル必殺光線でもなく「静かに握手しあう二人のウルトラマン」だと強く感じていた。
それを再現するのに、現代であれば最も出来の良いウルトラアクションフィギュアといえば、誰もがS.H.Figuarts(真骨彫製法)ウルトラマンと、S.H.Figuarts(真骨彫製法)ウルトラマンティガの組み合わせを想起するだろう。
しかし、「魁!オモ写塾・6 「ウルトラセブンアクションフィギュアの歴史・6」「究極のハイエンド S.H.Figuartsウルトラセブン」」でも書いたが、本話のクライマックスの再現を、なまじS.H.Figuarts(真骨彫製法)のウルトラマンとウルトラマンティガでやってしまうと、些細かつ明確な「間違い」が発生してしまうのである。
確かに『ウルトラの星』に登場した初代ウルトラマンは、平成で活躍した初代ウルトラマンの中でも、三本の指に入るレベルの高い再現性の造形であるのだが、かといって1966年で撮影に使われた実物そのものでは決して9ない。スーツアクターももちろん古谷敏さんではないので、プロポーションも違ってくる。そうなると、今度はティガのスーツアクターも、「S.H.Figuarts 真骨彫製法ウルトラマンティガ」でモデルスキャンされた権藤俊輔氏ではない(普段ティガに入っている権藤氏が初代ウルトラマンに入っていて、この時のティガには中村浩二氏が入っている)ので、違ってくる。
「何もそこまで拘らなくても。14年前まではウルトラアクションヒーローで再現をやっていたんだし」と言われてしまえばそれまでだが。
筆者はあくまで、素材としての玩具の作り手の込めたウェイトを尊重する姿勢であり、だからこそ、スーツアクターの体型まで再現しているフィギュアなのであればこそ、「権藤氏と中村氏の握手」のシルエットを「古谷氏と権藤氏」で再現してはいけないと思ったのだ。

ULTRA-ACTVer.2ウルトラマン 背面

また、後述するが、今にして思えば、迷いの中でブランドの先陣を切ったULTRA-ACT版ウルトラマンVer.1では激しかった違和感も、僅か数年でブラッシュアップしたこのVer.2ではかなり全ての要素がアップデートされており、充分「初代ウルトラマンのCタイプ」として見栄えが良い事を、実際手にして改めて思い知ったというのはある。
また(真骨頂S.H.Figuartsにももちろん付属しているが)今回は、そのフィギュア自体こそ使わなかったものの、ULTRA-ACTのウルトラマンティガVer.1に「初代ウルトラマンとティガの握手した手首パーツ」が付属していて、これはウルトラマンとティガのVer.2にも流用が可能であった。
このシーンを撮るためだけに、ヤナカーギーソフビの大きさに合わせた食玩フィギュアだけで終わらせたくないと思い、「握手パーツが付属した、ティガのVer.1」も含めて、その画を構成する要素の全てをきっちり用意することにしたのだ。

新規作成したいくつかのエピソードで、CD版『光の国から愛をこめて』以降に発売されたハイエンドアクションフィギュアのウルトラマン達を解説してきたが、イマドキのハイエンドアクションフィギュアに厳しい目線で向き合うマニアならともかく、「よくうごくうるとらまん人形」が、ウルトラ超合金やウルトラアクションヒーローで停まっていた筆者のような老害には、初期のULTRA-ACTであっても驚愕の出来栄えである。初弾のウルトラマンこそ、上記したように違和感があったので買うのを躊躇し、そしてまた、その時点でウルトラマンとウルトラセブンは殆どの再現特撮を終わらせていたので、手を出さなかったULTRA-ACT版初代ウルトラマンであったが、今回Ver.2を購入して、改めて唸らされる出来に感動した。
まずは以下、当時の販売告知バンダイのサイトでの文面から。

ULTRA-ACT ウルトラマン Ve.2 2012年07月 3520円

ULTRA-ACTの進化した技術により、「造形」「可動」「質感」の全てを兼ね備えたウルトラマンの決定版が新造形で登場!

■商品仕様
・全高約160mm
・PVC、ABS製

■セット内容
・本体
・ウルトラスラッシュ再現パーツ
・スペシウム光線再現パーツ
・ダッシュエフェクト(左・右)
・交換用手首左右各3種
・交換用カラータイマー(赤Ver.)
・Vサイン手首(右手のみ)
・ディスプレイ用ジョイントパーツ
可動部位は首二箇所・肩・上腕ロール・肘二重・手首三重・胸・腰・股関節二重・膝二重・足首三重・爪先
差し替え手首は平手・開き手・貫手が左右にVサイン右手・スペシウム光線右手・八つ裂き光輪右手
付属品は赤カラータイマー・ダッシュエフェクト・魂Stageアタッチメント

筆者が購入したのは後年だったのでプレミア価格になっていたが、2012年でこれだけオプションが充実していて3520円は、かなりお買い得だったと思われる。次のティガの項で触れるが、当初は初代ウルトラマンも、ヤナカーギーのソフビの大きさに合わせて、超動ウルトラマン4 [3.ウルトラマン]を用意しておいたのだが、モンタージュの結果、超動の出番は無くなり、本編での初代ウルトラマンの出番は全カット、こちらのフィギュアが務めることになった。
フィギュアの詳細な解説の方は、今の時代の最先端のフィギュアレビュワーの皆さんがネットで大勢アップしているので控える。Ver.1では闇を手探り故に決め打ちできなかった造形も、このVer.2では、ほぼCタイプにきっちりはめ込んでいるのは好感が持てる。
もちろん、その後の「S.H.Figuarts 真骨彫製法ウルトラマン」はこれとは比較にならないほどにCタイプだが、それを追い求めると永遠のいたちごっこになってしまうし、上でも書いたが今回のウルトラマンは厳密には「1966年の古谷敏氏のウルトラマン」ではないので、これで充分なのだ。「登場。エネルギーを与える。スペシウム光線。握手。去る」これだけの演出だが、そのためだけに用意してもよかったと思えるハイエンドフィギュアであった。

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